木造住宅は構造計算されていない!? №5【熊本~低燃費&高性能・子育て住宅】

つづきです。

構造計算していると広告しているが構造計算していない住宅

長期優良住宅で構造計算していますと謳っている木造2階建て住宅には実は構造計算していないものもあります。どういうことかというと住宅で耐震性の高さを示す耐震等級は品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)でその基準が定められていますが、木造2階建てでは許容応力度設計という鉄骨や鉄筋コンクリート造と同様の構造計算で行う方法と告示1347号第5に基づく基準法の壁量計算+α程度の簡易計算を行う仕様規定による方法の二通りがあるのです(木造3階建ては許容応力度設計が必須)。

仕様規定でも法律で認められた安全確認方法で四号建築の検討しかしていない住宅よりずっと耐震性は高いですが、あくまで簡易計算であり構造計算では無いのです。しかし設計事務所・工務店・ビルダー自身が仕様規定による簡易計算を構造計算だと誤解して「構造計算をしている」と宣伝している事が多い様です。
構造設計者としては甚だ不本意ですが。

大工さんの建てる家でも構造設計も耐震等級3も可能

少し話は逸れますが、大工さんのところに営業に行ったさい「自分たちは住宅メーカーでないから耐震等級を取るのは無理」と自分たちは耐震等級は取れない四号建築しか建てられない考えておられました。昔ながらの大工さんはそう考えておられる方が多い様です。しかし、実際は貫工法などで地震に耐える寺社建築の様な建物で無い限り昔ながらの大工さんの建てる住宅でも普通に構造設計し耐震等級3に出来ます(寺社建築などでは限界耐力設計が必要でかなり大変ですが)。

丁寧な仕口加工や自然乾燥木材にこだわっている大工さんの住宅であれば構造計算結果は同じでも実態の耐震性や耐久性はむしろビルダーやメーカーの住宅より高くなります。こうした大工さんたちにはこれまでの四号建築の住宅にこだわらず、耐震等級3の住宅や店舗建築などにも仕事の幅を増やしてほしいですね。i-木構としてもこうした大工さん達を応援し力になりたいです。

「確認申請が降りた」は安全のお墨付きでは無い

一般消費者だけでなく、建築士や住宅メーカーの方々にも「確認申請が降りた=耐震性等の安全性にお墨付きをもらった」と誤解している方が多いのですが、実際は確認申請は法律で定められた必要最小限の規準を満たしているかを”確認”しているだけです。特に木造2階建て住宅等の四号建築は設計図書の多くが省略できるため、 木造2階建て住宅等の四号建築の 建物の安全性はそれを設計する建築士が責任を持って確保する事が前提になっています。そして構造計算を省略した場合の地震などに対する安全性は、構造計算をした場合に対して一段低いものになっているのが現状です。 また、近年裁判でも消費者の立場に立ち建築士や施工会社に対し、必要な安全性を確保する行為がなされていたか厳しく問われる判決が出ており、法律を守っているからといって責任を問われないとはなりません。住宅を手がけている設計事務所、ビルダー、工務店さんらも「法律を満たしているかどうか」ではなく「消費者に自信をもって安全性なもの」を届ける様今一度考える時期ではないかと思います。

                                          参照 i-木構

August 28 , 2014 , 20:58 PM

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