「とんち」で知られる“一休さん”こと、一休宗純を開祖とする京都・大徳寺の真珠庵。この真珠庵の襖絵(ふすまえ)が400年ぶりに新調され、この秋から冬にかけて特別公開されています。大きな話題を呼んでいるのは、「現代の一休和尚」と呼ばれる27代目住職、山田宗正さんが依頼した六人の作家の顔ぶれです。
「楽園」北見けんいち・最初に足を踏み入れた室中に広がるのは、16面の「楽園」と題した襖絵です。人々が集まりにぎわうその景色は、お寺の侘びを覆す色鮮やかさ。『釣りバカ日誌』で知られる北見けんいちさんによる「楽園」と名付けられたこの襖絵の中には、山田宗正住職の姿もあるのだとか。
かとおもえば「かろうじて生きている」と名付けられた襖絵では、鉛色に荒れる海を背景に、叫びをあげる海猫と飛び立つ戦闘機が描かれています。こちらは『新世紀エヴァンゲリオン』の製作会社代表で映画監督、山賀裕之さんによるものです。
「かろうじて生きている」山賀裕之
そのほか、紙を漉くところから始めたという美術家の山口和也さんの「空花」、NHKのアニメ『オトナの一休さん』で知られるイラストレーター伊野孝行さんの「オトナの一休さん」、禅僧で画家の濱地創宗さんの「寒山習得」と続きます。
「オトナの一休さん」伊野孝行 そして最後の部屋は、ゲームソフト『ファイナルファンタジー』のアートディレクターを務めた上国料勇さんによる未来の極楽浄土を描いた「Purus Terrae 浄土」。観世音菩薩や不動明王、吉祥天など様々な神仏にはすべてモデルがおり、風神雷神にはエグザイルの世界さんと佐藤大樹さんがモデルとして起用されているのだとか。「Purus Terrae 浄土」上国料 勇
そもそもは400~500年を経た襖絵の修復をするためのクラウドファンディングの一環として始まったこの企画。高額支援の方の特典には、北見さんの襖絵の中に描かれる権利もあるのだとか。常識を覆す発想で知られる一休和尚、そうした人物を開祖に持つ真珠庵ならではの自由さにあふれ、新たな京都に触れられるかもしれません。