ある記事より
中央タクシー株式会社　代表取締役会長　宇都宮　恒久

私どものお客様は、障害をお持ちの方やご高齢の方、リピーターの方が多くい
らっしゃいます。

創業時から貫いてきた「サービス業としてのタクシー」というモットーが、わ
が社の代名詞となるまで浸透したといえる事象として、お客様からの御礼のお
便りがあります。

ある時ご高齢の女性からの「私、幸せ。生きていく力を与えてくれます」と書
かれた葉書にいたく感激した私は、ご自宅までお礼に伺いました。

おばあさまは乗務員と接している時に幸せな気持ちになれる、中央タクシーの
車を見ただけでほっとすると話してくださり、帰り際には「残り少ない命に幸
せをくれてありがとうね、中央さん」と見送ってくださいました。

私どもの仕事に全身で幸せを感じてくれているのだと、下げた頭を上げられま
せんでした。以来、お客様の言葉一つひとつは、わが社に対する遺言だと考え
るようになりました。

そう捉えると、一秒たりとも粗末にはできません。あらためて気が引き締まる
思いでした。

■ やさしさを知り、表現する仕事

タクシーは仕事を通じて優しさを知ることができます。商売を超えた優しさを
発揮できることは人生にとっても素晴らしいことです。

入社するまで高齢者とは無縁だった若手乗務員がいました。タクシーを通じて
高齢者と触れ合い、今では平気でおばあちゃんを抱きかかえることができるよ
うになりました。

なんともいえない笑顔は人生を変えてくれたと話してくれました。また別の乗
務員は、気楽な仕事だと思って入社したものの、向上心なしではやっていけな
い会社だと感じたそうです。

満足感や達成感を得ながら、人間性の高い仲間に囲まれ、よい緊張感を持って
仕事ができるといいます。仕事から生まれる人間関係は、人生に大きな影響を
与えます。

■ 人生を護（まも）る仕事

わが社の乗務員の仕事は、仕事の枠を超え、人としての責任感、使命感からの
行動といえます。

今の中央タクシーには創業当初に謳ってきたサービス業という言葉も、そのス
テージを越えると「人生」にたどり着くようです。仕事を通じてお客様の人生
に容赦なく触れていくことで、お客様の人生を護（まも）る、これが今のあり
方です。

中央タクシー株式会社／1975年創業。長野県長野市でタクシー事業を中心に旅
行事業も行う。数十年に及ぶ従業員教育の結果、数々の顧客満足に関する伝説
的なエピソードを持つドライバーを輩出。タクシー業界では稀な社員定着率を
保つ。

タクシー業界と住宅業界、業界は違っても仕事する上でのヒトのやさしさ
これが優劣を決定するのは間違いないようです。

明日から８月、弊社も人財教育コンサルさんに協力してもらい新たなヒトづくりプロジェクトにチャレンジです。